歯周病治療
歯周病とはどんな病気?
歯周病とは
歯周病というのは、歯肉と歯を支持している組織(この両者を総杯して、歯周組織といいます)が、細菌の感染によって侵される炎症を主な症状として進行する病気で、日本人の成人のおよそ90%近くの人が罹病しています。
原因は細菌感染
虫歯(齲蝕)も歯周病も細菌により起こります。細菌は、歯の表面や、歯肉についたプラーク(歯垢、歯苔)の中にいます。
両方とも歯を失うことに変わりありませんが、歯周病が進行すると歯の土台に致命傷を与え、入れ歯やインプラント等の処置が難しくなります。
歯を失う可能性も
歯茎も痩せて、周辺の健康な歯や治療中の歯にも悪影響を与えることになります。口の中が取り返しのつかない状態になる恐ろしい病気なのです。
そのうえ、統計的に見ても歯周病によって4割もの歯が失われています。
歯周病の症状は?
歯周病にも程度と症状はいろいろです。日常の歯のケアを怠っていると、歯周病の原因となるプラーク(歯垢、歯苔)が繁殖して、歯石(歯周病原菌の温床)が歯に付着します。
この状態では自覚症状がありません。ですが、立派な歯周病の予備軍です。
歯茎からの出血
「リンゴをかじると血がでませんか?」というフレーズを覚えている方もいらっしゃると思います。
歯ぐきから血が出る状態は、初期から中程度の進行具合です。
まだ歯肉炎(歯茎にの症状がでる)の状態です。
このまま進むと歯がグラグラして歯周組織(セメント質、歯根膜や歯槽骨など)が破壊される歯周炎となります。
歯周病には組織再生治療
歯周病は、歯と歯ぐきの間にたまった細菌の塊によって炎症が起こる病気です。症状の進行によって歯肉炎と歯周炎に分けられます。歯周病治療は正しい歯磨きと細菌の塊や歯石を取り除くことなどが基本です。
歯肉炎なら基本治療でたいていは回復しますが、歯周炎となり、歯と歯ぐきの間に3ミリを超える溝(歯周ポケット)ができると専門的な治療が必要です。
外科手術が必要な場合も
歯肉の奥に隠れている細菌の塊や歯石などを局所麻酔をしてかき出したり、細菌を死滅させる抗生剤などを歯周ポケットに注入したりします。
放置すれば歯周組織が徐々に失われ、歯が抜けてしまいます。5ミリほどの深い歯周ポケットになると外科手術になります。
歯肉を切開し、感染した歯の表面をきれいにする方法などがあります。通常の外科手術の場合、失った歯槽骨などの歯周組織は回復しにくいのに対し、手術後の歯周組織の再生を促す方法がGTR法です。
GTR法とは
この方法はスウェーデンで開発され、80年代に臨床応用が始まりました。
日本でも90年代はじめに普及しはじめました。「歯周組織」を生み出す幹細胞が、成人でも歯根膜に眠っていることが分かってきました。
その細胞の力を高めることで、歯を支える骨や歯ぐきが再生するのです。
手術で傷んだ組織を取り除くと、空洞ができます。そのままだと、隙間を埋めようと表面の柔らかい歯肉が入り込み、歯槽骨等の再生を邪魔するので、歯肉が入り込まないよう合成繊維の特殊な膜で空洞を囲い、歯槽骨の再生を待ち構えるという方法です。
術後も効果あり
術後も「歯磨きが大切」海外の論文によると、通常の手術では歯周ポケットの減少量は平均3.4ミリなのに対し、GTR法を行った場合、平均4.5ミリという効果を示す報告もあります。
GTR法が行えない場合も
ですが、GTR法はすべての歯を救えるわけではありません。
歯槽骨の破壊の形が水平に広がっていたり、破壊が重度だったりすると、この手術方法を使えません。
治療結果も歯槽骨の破壊の形などによって差が出るといいます。術後は歯周組織の再生に数か月から1年かかるため、定期検査が欠かせません。
何より肝心なのは正しい歯磨きをして、細菌の塊や歯石を再び付着させないことが大切です。
同様の治療に、歯周組織の再生を促すたんぱく質を塗るバイオ・リジェネレーション法なども先進医療に認められています。
歯磨きで取りきれない歯周ポケットの歯石の除去など、半年に1回は定期検診に歯科医院に行きましょう。
毎日の基本は、食後3回、最低3分の歯磨き。毎日寝る前は細かくブラシを動かしながら歯と歯茎の間、歯と歯の間に毛先を軽く当てて、1本ずつたまっているものを取り除く。「食後の正しい歯磨きはどんなに最先端の治療もかないません。」